朝ごはんは岡山土産のままかりと、五穀米、玉ねぎのお味噌汁、柴漬け、だった。
連絡しなければならない友人にメッセージを受け取り、今日予定していたイベントにどうにも行けそうにないなと思って断りを入れた。
今まで何かについて断りを入れたりするのが、かなり怖かったのだが、誰に嫌われるとか誰に好かれるとか、そういうことをいちいち考えなくてもよいか、と思えるようになった。
SNSの世界が前はとても近かったのに、今はとても遠くなったようだった。SNS依存というわけでもなかったけど、ネットで繰り広げられる世界はすごく狭いものだったんだなと思った。SNSでつながっている友人はいるけれども、もうそんなにこだわらなくていいか、と思えるようになった。
パートナーのお父さんが開けてくれたワインがとても美味しかった。赤ワインで、一見ぶどうジュースのような味がするのだが、それほどまでに清楚で高貴な味がするのだった。そういうワインを飲むようになったのだ。
パートナーのお父さんは私にあることを言ってくれて、その言葉がとても嬉しかったのでにこにこしてしまった。
働いていた会社の事業がどうなっていたのかみて、「ああやっぱり面白そうなことをやるな」と思いつつ、自分がどうにも合わせられなかった部分というのがそこにはあるような気がして、せっせと梨木香歩だとか角田光代を読んでいればいいと思うようになった。自分が何者になるのかにすごく苦しんでいたけれど、どこにもなじめない、行き先がわからない、なんてずっとずーっと思っていたけれど、そんなこと思わなくていいんだ、私はもうすでに「私」なんだ、と思ったらずいぶんと心が楽になり、神社仏閣が好きで美術とか旅行に興味を持って、本を読んでいても全然いいんだ、と思った。
パートナーはぐうぐう眠っており、私は風を感じながらキーボードを叩いている。
さっき梅酒に漬けていた梅の果肉を食べて、その皮のかたさとその内にあるやわらかな実を歯にかぶりついたときの感触を思い出した。
生きること、死ぬこと、誰と比較するでもないこと、私の生きる方向ということがちょっとずつわかってきたような気がする。
この日の夜は『ティム・バートンのコープス・ブライド』を見た。