はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

訪問者

「とうもろこしが余っているんだけどもらってくれたりしますか?」と訊いたら、友人が家に来てくれることになった。

 

せっかくなので、と思い、張り切って掃除をする。時間があったのでチーズケーキを買い、人に手紙を書きながら待っていた。

 

友人は家に来てくれて、「いいお家だ」と言ってくれ、本棚を眺めてくれた。紅茶を淹れて、チーズケーキを出してこの間の学会がどうだったかとか、この先生がこんなことを言っていたよ、とか、それについて思うことなどを話し、自分の学問の見え方とは違うその学問への哲学を持っていることがわかり、話していて楽しかった。

 

最後に彼女は「訊きたいことは聞けましたか?」と言っていたけれど、そして自分がどう答えられたかはわからないが、何かを探るというより、話していることで思索を深めることができたことが多かったと思う。友人の話し方は、ゆっくりとしていて、考えながら話すので、海や宇宙を思わせる話し方をする。または、大きな鳥のようでもある。

 

そんな風な話し方をする人とははじめて会えたという気がして、また話していることも、それまでの彼女の経験や知識体系をもとにした悠然としたことなので、私は自分がちっぽけな存在であるかのように感じるのだった。

 

ひとしきり話し、本棚にある本を紹介してある本を貸して、また本来の目的であるとうもろこしを包んでトートバックに入れて渡した。彼女は「気をつけて……。あれ? これは私が言われる台詞か……」と言いながら手を振って帰って行き、一人部屋に戻った。

 

彼女が帰って行った時、「さびしい」と感じた。部屋にまだ彼女のいた痕跡が残っているのだった。

 

パートナーが帰宅して、「今日はこんな話をしたの」と覚えている限り、友人との会話を思い出して話した。パートナーは時々コメントをはさみ、「僕も、その人とまた会いたいし、今度はその人のパートナーにも会いたいね」と言ってくれた。

 

「君は大らかな人だよ」とその後パートナーは言い、自分にはわからない自分のよさというものがあるものだな……と思った。