朝11時くらいになると、友人から電話が来る。
チェックアウトが11時なのだがどこに向かえばいいのだ、という、これは待ち合わせを言っていなかった私たちがわるい至極真っ当な電話であり、この人たちはポケットWi-fiを持ち合わせていなかったから、一歩ホテルを出ると慣れない土地で迷子になるのは見えていることだった。
12時くらいに時計台で待ち合わせしよう、と言い、私とパートナーは慌てて時計台へ向かったが、中に入ってもメキシコ人とその妻の姿は見当たらず、どこかなぁ? などと思いながら話して外に出ると、「私たちは今来たところなの」と、のんびり友人が言った。
4人でスープカレーを食べて、JRタワーの展望台に上る。写真を何枚か撮って、展望台を一周して見渡した。
「ここ、ほんとうに170mの高さなの?」と言い、
「もっとあるんじゃないかと思う」
と友人が言った。
メキシコ人はゆったりと眺めていた。
タコスがほんとうに美味しくてね、ありがとう、と言うと
友人は「そんなに美味しかった?」とか「まだ言ってる!」と述べた。
早めの電車で新千歳空港へ送り出し、
私とパートナーは家に帰宅した。
パートナーは疲れたのか眠っていて、寝起き後機嫌が悪かった。
(寝起きが悪い人なのである)
その後、二人でどうにかこうにか、昨日あまったトルティーヤの生地を使ってタコスを再現しようとしたのだが、うまくいかなかった。
私はこの日、方々に申し訳ないが少し疲れており、疲れをみせても淡々としていられる友人のことを尊敬した。
録画しておいた金曜ロードショーを眺め、パートナーと喧嘩をし、その後なだめるようにしてもらって眠った。
朝目が覚めると8時だった。
駅に向かう時、エスカレーターで友人が私に声をかけてくれた。
「――――」
いろいろまああるけど私は元気でやっています。
ひとえにパートナーのおかげである気もします。
メキシコから会いに来てくれてありがとう。