田中有芽子、2023、『私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない』、左右社。
時が経つのを待ちたい。しかし何かをじっくり読むというよりは、その一瞬一瞬について時を忘れて想像を膨らませていたい。
そういう時に読むのがぴったりなのが、歌集だと思う。
田中有芽子さんのこの歌集は、実家の方に行った時、駅ビルに入っている書店でパートナーが目に留めた。
「このセンス、めちゃくちゃすごい!!」
と言っていたので、パートナーの寝ている時に買い求め、持ち帰ってもらった。友人と会う予定であったパートナーはこの歌集を持たされたことになるが、その友人という人も現代短歌にハマっているらしく、二人で短歌を詠んでLINEで送り合ったと言う。
歌集を読むとき、今までは「この言葉の感じ、すてきだなぁ……」と思いながら読んでいたのだが、今回は、「これはどういう様子だろう?」とか「わかった!!」と一つ一つ箱に入ったチョコレートを選んで味わうみたいに読んだ。つまり『私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない』には人生が込められているのである。
……と書くと仰々しくなってしまうのだが、言葉のリズムも、言葉も美しくてポップで面白い。
いくつか紹介したいところだけれども、ぜひこの歌集を手にとって、その言葉の広がりを感じていただくことができたらと思う。