はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

遠方より友来る2

大学時代にサークルで知り合ったAさんが出張で北海道に来ていた。

 

最近よく知り合いが北海道に来る。知り合いの知り合い、というような人も来る。来月も(会う予定は今のところないが)知り合いが出張で来るはずだ。寒いのにみなさんよく来てくれる。

 

今日はカレー屋さんでカレーを食べた後、その場でカフェを探してコーヒーを飲みながら話していた。コーヒーは黒糖の味がするコーヒーで美味しかった。

続いて本屋さんで本を探した。

Aさんは1970年代の一橋大学のOBたちの冊子などを掘り当てており、「すごいな~」と思った。彼女は他にアイヌ語の植物とそれにまつわる物語集などを購入しており、北海道の本屋さん事情について私もちょっとずつ情報を広げることができた。

 

お土産に私はもち麦のシリアルをいただき、赤染晶子のエッセイを貸してもらった。以前、引っ越す前に吉祥寺の本屋で見つけたものである。

 

本屋さんでは、漫画を見つけた。とても惹きつけられるのだが、切なくて胸が痛くなるので買おうか迷っている、とAさんに言った。

Aさんは、

「初版だね。帯もある。状態もいいね」と、見てくれ、しばらく内容を読んでもらうこととした。

しばらくすると、

「はちみつさんには、この本は必要ないと思う」

と言い切ってくれた。

「もし、ちょっと暗い気持ちになりたいだとか、この本を所有したいなと思ったりするのなら別だけれど、今のあなたとあなたの生活は明るいから、この本はいらないと思う」

というようなことを続けてくれた。

 

今でも私はこの漫画のことを思うと少しほの暗い気持ちになるのだった。

 

それはある結婚生活を描いた話だったのだが、一言で言うと、ある人は好きな人の代わりとして結婚し、もう一人はそれに応じたが、やっぱり別な人を好きなのだった。

結婚をするより幸せなことがあるはず、と信じてきた人にはこの物語は癒しになるのかもしれないが、私はやっぱりかなしくなってしまうのだった。

 

好きだと思った人に好きな人がいたらさみしくなりませんか?

 

そういえば、この作品は最近ジャンプ+で連載されている『夏の終点』という漫画に雰囲気が似ているのだった。『夏の終点』の方が似せているのかもしれない。どちらにせよ切ない話なのであった。

 

その本屋には食に関する本が多く置いてあったので、私はスパイスの本とか、グラタンのレシピ集とか「世界の料理」に関する本を買った。

その本屋には興味深い取り合わせの本がいろいろあった。

 

帰る時にこんな夢を見てね、とか、今までこういう物語を書いていてね、という話をAさんにし、彼女は「あなたにとって大切な人が出る夢だったんだね」とか、「それはもっと誇っていいことだよ」などとコメントをしてくれ、とても嬉しかった。

 

別れる前に、お土産屋さんで鮭の漬物とにしんの漬物を買った。

 

その後、Aさんが改札を通っていくのを見て、寂しい気持ちになった。

これから会えなくなるというわけでもなく、連絡はいつでもとろうと思えばとれるのである。

でもやはり「会って話をする」というのは特別なことのように感じらた。

 

誰かが「会える人には会っておき、行けるところには行ったほうがいい」とツイッターで呟いていたような気がするが、それはほんとうにその通りなのだと思った。

 

家に帰って、買った「にしんの漬物」を食べた。置いてあった日本酒と合わせるとより美味しかった。

いただいたもち麦のシリアルに牛乳をかけてスプーンですくって食べ、赤染晶子のエッセイを読んだ。

花瓶に生けてある花を見やる。花というものはいつ見ても美しいのだった。こういう、美しさというものに支えられて私たちの生活は成り立っているのではないか、という気がした。私たちは大きな自然から生まれたものであり、自然には活かされているにすぎない、というような。

 

そんなことを考えていると途端にとてもさみしくなってしまった。

 

昨日見た夢のせいかもしれない。

 

今日はこれからカーテンを受け取る必要があるのだった。