私と恋人が付き合いだしたのは去年の11月である。
恋人は年末年始に関西へ行っていた。関西出身の人なのである。
年末には「お土産を買ったよ」と言って、鴨川をバックにお菓子の箱を持った写真を送ってくれた。いわく、有名なお菓子屋さんのこんぺいとうがあるのだ、ということだった。
「こんぺいとうってそんな、子どもの食べるものでしょ」
などと高をくくっていたのだが、年始に箱を開けた時に感動してしまった。
箱の中に小さな袋にはいったこんぺいとうがきちんと並び、しかも一つの袋に一色のこんぺいとうが入っており、青、紫、オレンジ、黄色、緑、赤、ピンク、と七色が美しく並んでいるのであった。
一粒口に運ぶと、上品な甘さを感じた。
恋人が京都に行くけれども、お土産に何が欲しいか、と訊かれた時に真っ先に私は「こんぺいとう」と言った。
恋人はびっくりしていて、「君がこっちに来てはじめての三連休を遊びにいってしまうんだよ。こう言ってしまってはなんだけど、安くない?」
と言った。
私は顔を背けて、「あのこんぺいとうはそんなものではないでしょう」と言った。
電車が来たので私たちはそれに乗った。
恋人はスマホを開いて、「今はかぼちゃや栗の味のも出しているらしい」と言う。
私は今でも、「安い」と言われて少し傷ついているのだけれども、
シンデレラが昔お土産に「ハシバミの枝」と答えたのと同じようなものだ、と思い直してお土産を楽しみにしている。
京都タワーを背に、紙袋を掲げている恋人の写真が送られてきたので、
そんなことを思い出した。