朝はピラティスをして、その後恋人と待ち合わせて特急に乗り、久しぶりに山梨へ行った。
ワイナリー巡りをするのである。
正直ワイナリー巡りと言っても、国産ワインなんだからあまり期待していない...というのが正直なところだった。
勝沼ぶどう郷から徒歩で「ぶどうの丘」に向かい、地下ワインセラーでワインのテイスティングをした。1500円くらいでタートヴァンという小さな飲み皿を購入し、ワインのテイスティングに向かうのである。
ワインセラーには赤と白の両方のワインがあって、これは甘口だとかこれはちょっと味が苦手だとか、左と右では左の方のワインが良いとか、「『ルバイヤート』ってウマル・ハイヤームじゃん」などと言いながらワインのテイスティングをした。
私が購入したのは、まるき葡萄酒のラフィーユ アッサンブラージュという赤ワインで、マスカットベーリーA の他にメルローとノートンをブレンドしたものらしかった。
何がよかったか、というとわからないのだが、飲んだ中で一番しっくりくるワインなのだった。
歩いて勝沼ぶどう郷駅まで戻り、タクシーに乗って別のワイナリーに行った。
タクシーの運転手さんがあたたかでよく喋ってくれる人で、このワイナリーがおすすめで、とか「馬込」というオレンジワインが美味しくて、と話してくれた。
久しぶりに山梨の言葉を聞けて嬉しかった。
次のワイナリーではカードにチャージをしてテイスティングをする方式だった。これはこれでなるほど気になるワインを少量ずつ飲めて良かった。
恋人は家族へのお土産にと『アルガブランカ ブリリャンテ』というスパークリング白ワインを買った。2016年の伊勢志摩のG7サミットで提供されたらしい。
その後はタクシーの運転手さんに教えてもらったワイナリーに行き、2種類の飲み比べてをして恋人の好みの白ワインを買った。
歩いているうちに「祝小学校」という小学校があり、「縁起の良さそうな学校だ」と話した。
4月なのに初夏のような気温で歩くにはいい天気だった。
図書館の分館があったのでそこでチラシなどを見て、山梨県が政策の説明などを市民に向けてしている講座に目を通したりした。
住民に政策を説明して交流するのはいいことだと思った。
歩いて「つぐら舎」というカフェに辿り着いた。そこではおやつに「固いプリン」をいただき、アイスコーヒーを飲んだ。
次のワイナリーではディナーをいただく、という予定が恋人にはあったらしく、時間まで本を読んだ。
私はベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』を読み、恋人は『ピダハン』を読んでいた。
店の外に猫がいてかわいかった。
夕日の中の道を歩くと町の写真館や昔の銀行などがあった。
次のワイナリーでは簡単な見学をし、次の目的地へと向かった。
そのワイナリーではぶどうジュースが飲め、数は少ないけれど無料で試飲ができた。
今まで一通りのワインを買ったので、そこでは珍しかった『ももワイン』を買った。
ディナーの時間になり、レストランに行ってみた。ちゃんとしたフレンチ料理のレストランだった。
コース料理を頼み、ロゼで乾杯して、キッシュを食べ、さくらのムースがかかった菜の花といかのサラダを食べ、じゃがいものポタージュを飲み、鯛のポワレを食べた。
ここでもグラスの白ワインを飲んだ。
あまり辛口ではなく、飲みやすいワインだった。
私は最近読んだ志賀直哉の短編の話をし、恋人はそれに耳を傾けてくれた。
恋人は最近ハマっているという『灼熱カバディ』という漫画について熱く語ってくれた。
デザートはいちごを使ったものだった。
食後のコーヒーを飲んでタクシーを呼んだ。
お会計の時に、「これはみなさんに差し上げているもので」と自家製のクッキーをもらった。
桜色の袋に白い水玉模様があり、小さく Because I want to see your face with a smile.
とプリントされていた。
嬉しかった。
迎えに来てくれたらタクシーの運転手さんは、運転中、「ここが大戸屋の創業者の生まれた家で」とか、「この近くにはワイナリーが36件あって」と話してくれ、オススメのワイナリーについてマーカーのついたマップを渡してくれた。
目的地のスーパーに着き、カマンベールチーズとローストビーフを買った。
今日購入したワインをさっそく宿で空けるのである。
かくしてワイナリー巡りを楽しんだ。