最近の芥川賞受賞作品だと、2022年上半期の高瀬準子の『おいしいごはんが食べられますように』、2020年下半期の宇佐見りんの『推し、燃ゆ』、2016年上半期の村田沙耶香『コンビニ人間』、2015年下半期の本谷有希子『異類婚姻譚』などを読んだことがある。
赤染晶子の『乙女の密告』は、『アンネの日記』と絡めてスピーチコンテストを題材に物語が展開していく。文体にはユーモアがあるけれど、どういう状況かわからないまま話が展開していくので、最近の受賞作品とは傾向が違うのかな……などと思った。『おいしいごはんが食べられますように』は働いている人たちの中の密やかなミステリや「食」に関する人の嗜好の違いが書かれていたので、そういう意味では、『乙女の密告』も「乙女」たちの習性に関連してのミステリや、「言葉」に対するそれぞれの想いの違い、などが書かれていたので共通点はあると言えるのかもしれない。
個人的には、最近の小説はリアリティということを突き詰めようとするな、という印象があったから、文体で楽しませるスタイル……というか、「これも文学作品として読まれていいんだ!」という驚きがあった。
「乙女」がなんなのか終始分からなかった。
時代が変わってしまったからかもしれない。
読書会とかを開いて話したい本ではある。