はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

読んだ:『乙女の密告』

2010年上半期芥川賞受賞作品の『乙女の密告』を読んだ。

 

最近の芥川賞受賞作品だと、2022年上半期の高瀬準子の『おいしいごはんが食べられますように』、2020年下半期の宇佐見りんの『推し、燃ゆ』、2016年上半期の村田沙耶香コンビニ人間』、2015年下半期の本谷有希子異類婚姻譚』などを読んだことがある。

 

赤染晶子の『乙女の密告』は、『アンネの日記』と絡めてスピーチコンテストを題材に物語が展開していく。文体にはユーモアがあるけれど、どういう状況かわからないまま話が展開していくので、最近の受賞作品とは傾向が違うのかな……などと思った。『おいしいごはんが食べられますように』は働いている人たちの中の密やかなミステリや「食」に関する人の嗜好の違いが書かれていたので、そういう意味では、『乙女の密告』も「乙女」たちの習性に関連してのミステリや、「言葉」に対するそれぞれの想いの違い、などが書かれていたので共通点はあると言えるのかもしれない。

 

個人的には、最近の小説はリアリティということを突き詰めようとするな、という印象があったから、文体で楽しませるスタイル……というか、「これも文学作品として読まれていいんだ!」という驚きがあった。

 

「乙女」がなんなのか終始分からなかった。

時代が変わってしまったからかもしれない。

 

読書会とかを開いて話したい本ではある。