下巻では、ペンパリー館を訪れるあたりまでのんびりベルベットケーキを食べながらにやにやして読んでいたのだが、リディアのスキャンダルで一転して、この時代は(今もそうかもしれないけど)結婚は自分の生まれ育った家族に関わる問題だったのだ、とより強く思うようになった。
キャラクターで誰が好き、ということはあまりなくて、
「ミセス・ベネットは苦手だなあ(でもああいうところは自分にもあるのかもしれない)」と思ったり、ミスタ・ベネットの結婚についてしみじみと考えさせられたり、リディアとウィッカムのスキャンダルについても、「一時の情で幸せになれるわけでもないのかも……」と思ったりした。
読みながら、ド・バークとエリザベスの対決のシーンでは、エリザベスは決して「結婚しない。根も葉もないうわさである」とは言わなかったので、あのシーンはエリザベスの芯の強さをよく表していると思った。
人間の書き分け、と言う点ではモーパッサンとかの自然主義の作品の方が私は好きなので、おそらく『高慢と偏見』ではまだまだ読み取れていない人物像があるのだろう、と思う。
結婚について。
私はすぐに結婚したがるところがあり、相手に「結婚のことを考えて」と言って困らせてしまうパターンがあるのだが*1、『高慢と偏見』を読み終えて、結婚の話題を迂闊に出さないようにしよう――と思った。
ダーシーの告白をエリザベスが最初にはねつけたのは、理由があったけれども、ダーシーの高慢さをエリザベスは見抜き、「プロポーズを受けてあたりまえ」という態度を改めさせたことに意味があった。
だから結婚したいと思っていても、その考えは胸に秘めていたほうがよろしいのではないかという気になってきた。
またこれは、ほんとうにご縁があるかないかなのでわからないことなのである。
私は結婚というものに憧れているけれど、そんな憧れからではみすみす結婚などしてはいけない――と紳士諸君なら思うことだろう。
ジェインもビングリーもじっと耐えて、一度はあきらめても結ばれることになった。
本来の結婚とはかくあるべきである。
なお、『高慢と偏見』を読んで、エリザベスとダーシーがほんとうに幸せになれるかどうか、それはわからない、と思った。
この小説は結婚までの過程を描いているが、結婚生活については書かれていない。
結婚までの過程と破局については、三年くらい前に『風と共に去りぬ』5巻を読んだのでなんとなくわかった気でいる。
もっと恋愛や結婚に関する小説を読みたい。
次はアニー・エルノ-に挑戦する!
*1:逆に「結婚を考えられない」と言われて三ヵ月で付き合いが終わったケースもある。