はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

『ダロウェイ夫人』

集英社文庫の丹治愛訳『ダロウェイ夫人』を読んだ。

 

次々と語り手が変わっていくので、「今誰が話をしてるいるのか」を追わないと読めず、「意識の流れ」で書かれた小説は難しい……と思ったし、肝心のピーター・ウォルシュとクラリッサ・ダロウェイの関係について深く書いてある箇所が(過去を除いて)あまりないので、私にとっては面白くない小説だった。

ヴァージニア・ウルフの『自分ひとりの部屋』は興味深く読んだけれど、『ダロウェイ夫人』はどちらかというとウルフの思想というよりも、「生」や「死」、「結婚」「孤独」などについて書かれた小説であると思っていて、また言葉も美しいので、いわゆる「小説」というよりも「詩」なのでは? と思いながら読んだ。

参考になるような感想を探してみても、彼女の生い立ちや「意識の流れ」について書かれた感想はあっても、『ダロウェイ夫人』のストーリーそのものに言及するものは少なかったので、実はヴァージニア・ウルフは小説家というより詩人またはエッセイストの才能があったのでは……? と思った。

 

解説ではウルフの精神病的傾向や同性愛について触れられていたが、ウルフはそういった個人的になことを書きたくても書けなくて苦しんで、「意識の流れ」という形をとって書いたのではないかという感じがした。

 

まあ主人公のクラリッサは年齢が50代なので、20代の私が読んでもわからないことの方が多いのかもしれない。

 

ポストモダニズムついて本を読んでもいい、と思った。