はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

『高慢と偏見』(上)

恋愛小説を書きたいと思っているので参考までにジェーン・オースティンの『高慢と偏見』を読むことにした。

 

イギリス社会については、これまでジョージ・エリオットの『ミドルマーチ1』、廣野由美子『小説読解入門』、カズオ・イシグロ『日の名残』、ヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』、『ダロウェイ夫人』などを読んできたのだが、解説で源嗣相続についても参照しながら上巻を読み進めた。

 

印象としては、「会話がおそらくイギリス上流社会の言い回しをしていて、理解するのにワンテンポかかるな」ということ。

京都の人だったらその雅な会話について察するのがさぞ上手いのだろう(偏見)という感じである。

 

身分制度というものから解放された(とされている)現代社会においては、なぜシャーロットが結婚を決意したかとか、そもそも結婚というのがなぜそんなに必要とされているのか、がわかりにくいかもしれない。

 

バーナード・ショーも述べている通り、『できるだけ早く結婚することは女のビジネスであり、できるだけ結婚しないでおくことは男のビジネスである』。

(It is a woman's business to get married as soon as possible, and a men to keep unmarried as long as he can.)

 

この時代においては、手に職をもたない女性が生きるのに必要なビジネスであったし、(むしろ男性の方が結婚をビジネスととらえたという見方もあるが)、財産相続の問題・範囲を考えると、結婚はやはり重大な問題であった。

 

それなのに主人公のエリザベスはミスタ・ダーシーの恋には気づかず、そのプロポーズもはねのけてしまう!

 

ダーシーのプロポーズはこう。

 

「いたずらに苦しみました。でもだめでした。この気持ちはもう抑えられない。こう申し上げることを許してください、ぼくがどれほど激しくあなたを想い、愛しているかということを」p.355(『高慢と偏見』、ジェーン・オースティン小尾芙佐訳、光文社、2011年。)

 

私はダーシーのこの告白にくらっときてしまったが、エリザベス嬢はそんな告白では心を動かされないほどの知性の持ち主である。

(というよりプロポーズを受け入れてあたりまえ、とするダーシーの態度に反感を持ったらしい。常日頃「結婚したい!」と思っている26歳独身のはちみつさんからは考えられない状況である。エリザベスはさぞ美人なのだろう。美人であると同時にやはりダーシーと同じく高慢なのだろう)。

 

上巻はダーシーの手紙で締めくくられる。エリザベスの物の見方や人間の観察の仕方(同時に読者の視点)がダーシーのそれとは違うところが人間の描き方として上手いのだが、やはり何をもって「知的」とするかは、議論されるべき点であるに違いない。

 

対照的なのはメアリで、彼女はリディアやキティほどではないけれど、どちらかというとコリンズのように面白みのない人間として描かれている。(見方によってはコリンズがコメディアンのようにも見えるので、コリンズとメアリが対照的という見方もあるかもしれない)。

 

私はダーシーに好印象を持っている。

他に小説で好きなキャラクターがいるかな...とか考えたらモームの『月と六ペンス』のストリックランドとかが好きだなと思った。

 

小説における好きなキャラクター(女性)はあまり思いつかない...。

ノルウェイの森』の緑とか、『国境の南 太陽の西』の島本さんとかかな...?

 

話が脱線しました。

 

本書は登場人物を関係性やその会話によって書き分けている点が魅力で、展開も早いし(モーパッサンの『女の一生』とかに比べて)、飽きさせる点がありません。

 

今回は光文社の古典新訳を選びましたが新潮社版でも読んでみたいです。

 

では下巻を読みます!