はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

読んだ:『恋するように旅をして』

角田光代さんのエッセイが好きで、旅行エッセイを見つけては手に取っている。『恋するように旅をして』の文庫版は2005年に発行されたものらしく、そういえば今から二十年前に発行されたのかと思う。

二十年以上前の旅ってどんな感じだったんだろう、と思いながら、坊主に「ジギジギって知ってる!?」と迫られた話や、何をするでもなくビーチに滞在していた話などがあって、しかも起承転結があり、細部が目に浮かぶような描写でとても面白く読んだ。「場所と人の関係が恋愛に似ている」という一文を読んで、「どうだったかな~」と思い返す。旅行から帰宅した今、次に思い浮かべているのは寒い国の方で、そういえば私は今、北海道に住んでいるが、北海道のことはちょっとずつ好きになっていっているなぁ……と思った。

 

でもやっぱり、海外に行くのと日本にいるのとでは勝手が違うな、と思う。

 

エッセイの中にある、「ベトナムのコーヒー屋」のように、もう会うことはないとわかっていても、思い出に残る人の姿はやっぱりあって、その町で出会った人のことを思い出すたびに「あの人はこんなことをしてくれたなあ」とか、「こういう言葉を交わしたなあ」と思うことって、やっぱり海外旅行ならではのような気がする。

 

それと同じように、旅エッセイも、旅をしながら読んでいるときと、安穏と日本でベッドに寝そべりながら読んでいるのとでは味わいが違うようにも思える。旅をしている時の方が、目に見える木々や、車窓の風景が鮮やかになるのだ。

 

私が旅行を好きなのはなんでだろう、と思った時に、一つは単純に見知らぬ建物・知らないごはん・見知らぬ人に会うのが好きだからだろうな、と思った。実は旅行を仕事にしようかなと思ったことがあるのだけど、今考えれば旅行は仕事にしなくて正解だと思う。パッケージの旅行よりも、その土地であった良い思い出も、面白くないことも含めて全部、自分の糧にしていきたいので。

 

角田光代さんのエッセイは、読んでいて勇気をもらえる。角田さんの旅は、ほとんど「徒労」とも思えるような、何のために歩いて、どこに向かっているのかわからないような、修行みたいな旅なのだが、実を言うと私もそういうことが好きなのだ。だから、読んでいて、「こんな苦労をしたのか!」とびっくりしたり、「そういうことってありますよね」と共感するポイントがあったりして、旅というのは歩くこと、知らない人と出会うことでいいんだよなと思えるのである。

 

この本は羽田空港の蔦屋書店で売られていたものを夫が買ったものだ。待合で、飛行機の中で、二人で交互にくすくす笑いながら読んだ。