梨木香歩の文は丁寧に書かれていて、心を穏やかにする文が多い。今まで読んだことがあるのは『エストニア紀行』、『ぐるりのこと』など。大晦日に買って、1月2日の新幹線の中で読み始め、空港に着く前の電車で読み終えた。
今回のエッセイのテーマは「日本の地名」である。地名の中にある物語や、今生きている人に伺った話、自然や地形などについて触れられている。
この本を読む前に、地元の一宮の神社に寄ったのもあって、土地の神さまや、神さまにまつわるお話などもっと知りたいと思った。
そういえば氷室冴子も『いっぱいしの女』(筑摩書房)というエッセイで、日本のお話について見解を述べていたように思った。(母に寄贈したので手元になく、該当箇所が確認できないが)。
梨木香歩は、『扶桑略記』とか、『西蝦夷日誌』、『文徳実録』など、昔の本をたくさん読んでいて、そこから地名のお話だったり、神さまの系譜や天皇の系譜などを知っているらしかった。
話が脱線するけれども、国文科出身の母親曰く、『日本書紀』などは「見た人が見たらわかる暗号で書いてあるものだ」と言っていた。うそかほんとか知らんけど。しかし、地名が変化していく様を見ていると、そういうことは実際あるかもしれない、と思った。
スマホでいくつか日本の地名について調べるが、ちょっと味気なかった。
やはり、地名については、どういう人たちが暮らしていて、とか、どういう由来があって、などを調べる方が楽しいのだと思う。
滋賀県の話がよく出ていたので、琵琶湖のほとりに宿泊する時にでも、また読み返すことができたらいいなと思った。