はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

読んだ:『恋できみが死なない理由』

最果タヒの名前を知ったのは大学生の頃で、当時所属していた読書サークルにファンがいたのを覚えている。そういえば彼女は読書会有志で発表した作品集に最果タヒの論考を載せていた。

 

私が「最果タヒ、なんかいいかも……」と思ったのは、ツイッターに流れてきた「マイ・スイート・派手」という今回の『恋できみが死なない理由』の中にあるエッセイを読んだからである。

私は感情の起伏が激しくてなんでも気持ちが強まりやすく深まりやすいのだけど、最近これは「心が派手」ということなんだと思うようになった。ド派手なハート。*1

 

書き出しからしびれてしまった。言葉がリズムを持っていて美しい。

 

私が好きなのを三つあげるとしたら、「資生堂パーラーでオムライス愛」、「ご挨拶2017」、「だから、暗闇へ。」など。

 

ほんとうに読んでいて言葉のリズムが心地よくて、おそらくそれは彼女が詩人だからなのだろうとは思うけれども、並みの小説家などではこんな風にリズムを整えることはできないのではないかという気がした。

言葉から音楽が聴こえるみたいだ、と思った。

それはロックやポップスみたいに、何かを懸命に伝えようとするものではなくて、なんというかたとえていうなら細野晴臣の『銀河鉄道の夜』のような音楽だった。

 

ほんとうはどういう文章のどういうところが好き、というのを一つ一つあげていきたいのだけれど、それはやめておく。

 

そういえば、最近始めたオンラインスクールの講座で、「好きな文章を写経するといい」という話があり、三宅香帆さんの『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』でも、文章を抜き書きして、どういうところに良さを感じるのか書いてみるという見本例が一通り載っていた。

 

最果タヒさんの文章はほんとうに高原で見上げる天の川のように美しくて、時々どきっと切り込んでいく文章なので、写経をして自分なりに、どういう言葉の運び方がよいと思ったのかなどを書いて、私も詩でも短歌でもなんでも書いてみようと思った。

 

もう一回読みたい。

 

 

 

 

*1:p.49