金子光晴の『どくろ杯』を年末になってやっと読み終わった。
もう閉店してしまった、渋谷の丸善ジュンク堂で買った本である。2022年に買ったのだっけ。忘れてしまった。
金子光晴を読もうと思ったのは、角田光代さんがインタビューで、旅行する時に読む本としてこの本(もしくは、『マレー蘭印紀行』)を挙げていたからである。
私は入浴しながら、とか、お酒を飲みながらこの本を読んでいた。
実家に帰ってたまたまあと十数ページだったので読み切った、というわけである。
この本に出てくる人たちは、見栄っ張りで、「文学をやる人というとどこか放蕩する人を思わせるのは金子光晴のせいじゃないか」と思うくらい、行く先々で売れない絵を描いて、知人を頼ってお金を借りて、旅を続けるのであるが、ほんとうにしぶとく生き延びていて、自分が何か落ち込んでいる時にお風呂に入りながら読んだり、お酒を飲みながら読んだりすると、妙に慰められる。
めちゃくちゃ美文というわけでもないけれど、何か「生きる」ということに格闘している、という感じがして、なんかリラックスして読むのに望まないと読めない、こちらも闘って読むような本だった。
お酒を飲みながら読むのだとしたら、ウイスキーとかが合うと思います。