はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

読んだ:『君が手にするはずだった黄金について』

小川哲の連作短編小説・『君が手にするはずだった黄金について』を読み終えた。

 

小川哲、伊坂幸太郎以来の作家になるのではないかと思って勝手に期待を寄せている。

 

連作短編小説なのだけど、「プロローグ」、「三月十日」、「小説家の鏡」、「受賞エッセイ」などが好きだと思った。その中で特に好きだと思ったのは、「三月十日」で、コンセプトは「2011年の3月11日については覚えている人はいるかもしれないけど、その前日の3月10日は何していたか覚えている?(覚えていないよね?)」というもの。

その三月十日を思い出すために主人公はメールを辿ったり、友人や恋人と話をしたりするのだが……というあらすじ。

 

ちなみに、私は『君のクイズ』よりも先に『君が手にするはずだった黄金について』のいくつかの短編を読んで「この人と友達になれそう~」などと思った。

 

全体的にはやはり徹底的に「エゴ」(自己と訳した方がいいかもしれない)について書かれていて、自分の内面や、アイデンティティについて探る作品が多かったと思う。

小川哲作品は、他人と比べてどうか、というよりも、揺るがない自分と揺らいでいる他人、という書き方をするので自信をもらえる。

自分はこういう人間でいいんだな、隠したいことは隠していいし、でも自分は自分でいればいいよな、というような。他人を欺くようなことはしてはいけないなとも思いますが。

 

話がそれるけど、私が小川哲を知ったのは実は奥さんの山本さほさんの『岡崎に捧ぐ』をツイッターで読んでいたからで、山本さんがご結婚されたと知り、しかもそのお相手が小説家だったということで小川さんを知ることになった。

 

どういう相手をパートナーにするか、ってなったら、やっぱり一緒に生活していて楽しい人とか、苦労を乗り越えられる人をパートナーにしたいよねと思う。

(『君のクイズ』でも『君が手にするはずだった黄金について』でも、似たような人から似たような人が振られる、という展開がある。いつか小川さんには恋愛アンソロジーのようなものも書いてほしい。)

 

さて、2025年12月25日現在読んでいるのは『源氏物語(上)』と『巨匠とマルガリータ(上)』、『所有と分配の人類学』である。

源氏上巻は読み終わりたいな~。