美しさを髪に見出すという文化、意外とある。
私の恋人は私の髪をよく褒めてくれる。
はじめて髪に触れた時も、「髪さらさら」と言って驚いていた。大学を卒業したころの写真を見せても、高校生の頃の写真を見せても、「この頃から髪がきれいだったんだね」と言ってくれる。
そんなに髪をほめてもらえてうれしかったから、「そろそろ髪を切りに行きたいな~」と思った時、カットだけでなく「髪質改善」をしてくれるという美容院に行った。
シャンプーを変えて今一つ髪が前ほど良いとは思えなかったのである。
私は美容院というものがそれまでよくわからなかった。
「人はなぜ髪にこだわったりするのだろう」などと思っていた。
しかしひとたび、髪のパサつきが気になるともういけない。
「なんとかしなくては」という気になった。
美容院という場所、鏡が多くてなんだかギラギラしていて苦手だったのだけど、予約したそのお店は、着くなり飲み物を提供してくれ、BGMはサウンドだけの落ち着くものであり、ャンプーはボタニカルでラベンダーやシトラスのような香りがして大変居心地の良い美容院だった。さらに一人の美容師さんがつきっきりでシャンプーもカットもしてくれて、世間話などもできてはじめてのお店なのにとても満足したのであった。
かくして、こわすぎて近寄ることが出来なかった美容院、ということを克服したのであった。
それだけでなく、髪がきれいになっていく、ということにも喜びを見出すことができたのである。
余談だけれど、髪に美しさを見出すという文化、イスラーム圏もそうだし、O.ヘンリの『賢者の贈り物』にも表れている。北欧にも美髪王ハロルドという話があるし。
今まで美しいということについて考えたことが実はあまりなかったのだが、髪をこれからもっと大切にしたいな、などと思うのであった。