大学生活の二年間を国分寺で過ごした。
私には好きな人がいて、大学と住んでいた寮と駅を往復し、東京の西側特有の、のんびりした空気を吸って生きていた。
今日のおやすみに行ってみて、あらためてこの土地が好きだったことを思い出した。
変わってしまったところがあり、変わらないままの部分もあって、遠くなってしまった日々を懐かしく思った。
昔の恋人の姿なんかどこにもないのだが、彼に会うために走って駅まで行ったこととか、会えた時にとても嬉しかったこととかが思い出された。
帰りに小学生くらいの小さな男の子が歩いているのをみて、「時の流れははやいな」と思うなどした。
住んでいたところの近くのスーパーに寄ってみて、ワインのコーナーができていることにびっくりした。
今学生だったらワインを買って家で友達と飲み放題じゃないか...
などという感想を持った。
スーパーを出て駐輪場まで歩くと、課題を三つか四つ抱えてお惣菜を買いに自転車でこのスーパーに寄っていた、19歳の頃を思うなどした。
この間石神井公園駅に寄った時、「あそこは学生にとって良い街だった」と思ったのだが、国分寺は今でも十分住める、むしろ「住みたい」と思える街だった。
国分寺をはじめて訪れた年、北口の駅にはどーんと穴があいていた。
昔の恋人曰く、その昔にはビルが建っていて、壊していく様子を眺めていたそうだ。
この穴のあとに何ができるんだろうね、と話したものだった。
柔らかな光の午後だった。
もうすぐ冬が訪れるということがわかる、空の青い日だった。
帰り道の小さな神社でお願い事をした。
その神社は学生時代からついぞ寄ったことのない神社で、帰る時に鳥居が来る時よりなんだか大きく見えた。
学生の時は、神楽坂とか上野とか神保町とかにすぐアクセスできるところに住みたいと思っていたが、国分寺に住めたというのは、私にとって、とても良いことだったと思う。
多摩湖線の電車の色が、昔は白ばかりだったのに、真っ赤な電車と青の電車になっていて、これも昔の恋人が言っていた、「昔は黄色しかなかったんだよ」という言葉を思い出した。
地下鉄で自宅に向かうと気持ちが少し暗くなる。たぶん陽が差さないからだろう。
やっぱり東京の西と東では雰囲気がずいぶん違うのだ。
次に引っ越す時はやはり西に住みたい。