移動中にアガサ・クリスティーの『スタイルズ荘の怪事件』を読み終えた。大体9月頃になるとミステリーを読みたくなり、本棚にあった未読のミステリーで移動中に読めそうなものはこちらだったのだ。
アガサ・クリスティーは『アクロイド殺し』、『そして誰もいなくなった』、『春にして君を離れ』を読んでいて、まだまだクリスティー初心者といったところなのだけれど、今回、「飛行機に乗っている間に読むのにちょうどいい」ことがわかったので、次回は何を読もうか楽しみにしているところ。
『スタイルズ荘の怪事件』はエルキュール・ポワロ登場の第一作目にして、はじめて出版されたものとは聞いていたので、どんな話なのだろうと思っていたのだが、流れは単純と言えば単純なものである。
「スタイルズ荘」に人が集まる → 館の主人でお金持ちのおばあさんが殺される →それが毒殺だとわかる → 現場検証
という風に物語が進む。
他のミステリであまり見ないところで好きだなと思ったのは、陪審員による審査があるところだ。これによって、内部の証言に限らないことが明らかにされるのがいいなと思った。*1
ミステリーは私はトリックがどう、というよりも「犯人は誰なのだろう」と思いながら読むタイプなのだが、「スタイルズ荘」は、現場検証をした時の違和感が一つずつ解きほぐされ、作中で言及されていた、一見何のことを言っているのかわからないことがあとで明らかになるので、安心して「これは~~に用いられてたのか」と得心することができる。
謎解きにしても面白いのだけれど、それよりも、私は語り手のヘイスティングスの思っていることを読むのが好きで、彼も結構嘘をつくあたり(安心してほしいのだけれど、この嘘をつくのは謎解きとは関係ないところなのだ)、アガサ・クリスティーという人は、人の心というものをよく観察しているんだなあと思う。
そういえば、エルキュール・ポワロというとどうしてもイメージが固まってしまうのだけど、第一作のポワロは子どもみたいなところがあり、それまでの私の「ポワロ」像は映画などをみてつくってしまった部分だったなあと思った。「スタイルズ荘」のポワロはあんまりケネス・ブラナーっぽくはない。
『スタイルズ荘の怪事件』は読み終えてほんのりとあたたかな気持ちになり、秋に読むのにミステリーはいいよねえと思いながら帰宅することができた。