はちみつのdiary

hannyhi8n1から引っ越しました。

『フェイブルマンズ』

スピルバーグの自伝的作品、というのは聞いていたけど、どこまでがほんとうのことなのかとか、主人公の演技にあまりリアリティがなかったので、スピルバーグにしては珍しい作品だなと思った。

私が観た作品は全然少なくて、『ジョーズ』(1975)、『E.T.』(1982)、『ジュラシック・パーク』(1993)、『ターミナル』(2004)、『戦火の馬』(2011)、『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)、『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021)くらいなのだけど、どれも映画として「カッコよくまとめる」というイメージの強い監督だった。

だから家族のこととか、自分の内面のことを描いたこの作品はすごく実験的に思えたし、Artについて語られていてすごく参考になった。

でも観終えた時の感想は「なんかよくわからないものをみた」という感じに近かった。

また芸術の道に進むと言うことがとても危ういものを秘めているというようなことも感じた。

たとえば撮られた生身の人間が思う「現実の自分」と、想像力をかきたてる、芸術としての「演技」というのは両立がとても難しいことなのだと思う描写が二点あった。

 

『地平線が下にあると面白い映画になる。地平線が上にあっても面白い映画になる。真ん中はつまらない。これだけを意識しろ』

みたいなことを最後に言われていて、それは創作ということに関してのメッセージではないかと思った。

何を撮るか、よりも、視点を大事にしろということなのかな、ということだ。

映画を撮るということがどういうことなのかよく知らない。カメラの世界についてもよくわからない。ただアートとサイエンスが融合した世界を私たちはすでに生きていて、また単なる文学やエンターテイメントという垣根、そういったジャンルに限らず人種や宗教というものを越えたシームレスな世界を私たちはすでに生きているのではないか、そういう世界に生きている以上、徹底してこだわる美学のようなものを持つことで課題解決にあたれるんじゃないか、という気にさせれらた。

 

そういうわけで、『フェイブルマンズ』は「半自伝」というオーソドックスでありながら常に新しくなるテーマですごく実験的なことをしている。

 

映画という世界、奥深すぎる……。

とりあえず『アラビアのロレンス』と『七人の侍』を観ようと思った。